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【ケア】高圧酸素ルームでクライミングの治癒力を上げる

由井2018/12/31

高圧酸素ルームでクライミングの治癒力を上げる

グッぼるに通う選手達と通っているフィットネスジムに高圧酸素ルームが導入されました。まず言っておきたいのは効果は絶大と感じていること。有名アスリートに高評価で導入も盛んなためご存知方も多いかもしれません。ざっくり説明すると「毛細血管まで届く酸素を短時間で血流に加える」装置です。ヘンリーの法則により治癒力の根源である酸素を毛細血管まで届きやすくするものです。全身の骨や内臓にまである毛細血管は先端ほど細く、ヘモグロビンでは通過できません。通過できるサイズの酸素を圧力で混入させる理論。考えた人、マジで天才です。私は眼精疲労で老眼鏡をかけていますが今はない状態で楽に入力できます。目は毛細血管のカタマリですから効果はすぐに実感できました。
高圧酸素療法 ウイキペディア
酸素カプセル ウイキペディア

クライミングで期待できる効果

この効果絶大の仕組をハードな登りをするクライマーたちに使わない手はありません。特に選手はアンチドーピング機構と山岳協会がサプリメントに過剰反応しており全く使えない状態となっています。ハードなトレーニングで身体を酷使する選手たちに、故障や疲れにどう対処するかは大きな課題です。治癒もエルゴジェニックな効果も期待できる高気圧酸素は救世主かもしれません。クライマーに期待できる効果を列挙します。

  1. 体内にあるガスを圧力がかかった分だけ小さくする
    • 血管を太くし血流が良くなり持久力が向上​​
  2. 血液に含まれる酸素量の増加あるいは血液中の酸素の圧力が高くなる
    • 持久力やパンプからの回復が向上する
  3. 血流が再開した後におきる障害(虚血再灌流障害)を抑える
    • パンプ後の回復を安定化させ向上させる
  4. 酸化やストレスに強くなり炎症を抑える。
    • モチベーションを上げ回復力の低下を防ぐ
  5. 白血球が細菌を処理する能力を上げ抗菌薬が効きやすくなる
    • 風邪や疾患を早く治せるため本番でチカラを出しやすい
  6. 新しい血管が作られ、傷が治りやすくなる
    • 骨折や捻挫の治りが早くなる
  7. 血管を収縮させ末端の血液循環を改善してむくみを抑える
    • やせやすい身体を作りやすくなる

ドーピングには当たらない JADA認定済み

北京オリンピックの直前に「酸素カプセルはドーピングではないのか」という議論がありました。結果、世界反ドーピング機関(WADA)・日本アンチ・ドーピング機構(JADA)のどちらも 補足的な酸素の使用は禁止しない と結論づけ、高圧酸素療法はドーピングに当たらないとなっています。今では、アスリートがコンペ前日や傷の治療で使用するのは定番となっています。良質な酸素を多く取り入れることで疲労回復を早め。コンディションを整えるのに、これ以上効果の高いものがないと言っても過言ではありません。

高圧酸素療法とは

溶存酸素の浸透圧を高め細胞の活性化を促す

現代人は社会のストレスや大気汚染による酸素不足が原因で、病気や老化などの様々な悩みをかかえるようになりました。人間の身体には約60兆個の細胞があり、そのすべてが酸素を必要としています。高気圧酸素ルームは溶解型酸素の浸透圧を高める酸素セラピーにより、身体の各機能を整え、健康増進が期待できます。

「結合酸素」と「溶存酸素」

「結合酸素」とは通常の呼吸で得られる酸素で、血液中のヘモグロビンに依存して融合し、血管に運ばれています。そのためヘモグロビンの大きさは細い毛細血管を通り抜けるには限られてしまいます。しかし「溶存酸素」はヘモグロビンと融合していない酸素で、しかもヘモグロビンより小さいため、毛細血管を通りやすく体内により多くの酸素を送り込むことができます。

高気圧酸素ルームの実験データ

高気圧ルームを使用して高気圧酸素 (1.3 気圧) の環境に滞在すると、上記のような効果 が得られます。
今回の実験データの取得に関する情報
実施期間:2016年6月〜8月 / 実施場所:京都大学大学院人間・環境学研究科実験室 (森谷敏夫研究室) / 使用した設備:日本気圧バルク工業株式会社( 高気圧ルーム・ブレッドタイプA-L)/ 監修:森谷敏夫 (京都大学名誉教授) 石原昭彦 (京都大学教授)

安静時の心拍数が減少

赤血球中のヘモグロビンが酸素 (これを結合酸素といいます) を結びつけて全身に運びます。高気圧酸素の環境では、結合酸素が増大します。また、全身を流れる酸素が増大するこ とによって、安静時の心拍数が減少します。

ヘンリーの法則

上記の画像はA=高気圧ルームに滞在する前。B=60分間高気圧ルームに滞在した後です。血液の粘稠性 (ねばりけ) が改善されました。血液中に溶け込んだ酸素を溶存酸素といいます。高気圧酸素の環境では、ヘンリーの法則により溶存酸素が増大します。溶存酸素は血液中に直接溶け込んでいるので、手先、足先、心臓、脳や眼の末端 の細胞まで流れていきます。
※ヘンリーの法則とは
定温度のもとで液体に溶解する気体の量(質量)は,その液体と平衡状態にあるその気体の分圧に比例するという法則。

末梢血流が増大

上記画像、左は高気圧ルームに時間ごとの手のひらの表面温度です。画像右は普通環境との対比グラフです。末梢血流が増大していることがわかります。過食や運動不足によって、赤血球が連鎖したり、凝集するために、ドロドロした血液になり ます。一方、高気圧酸素の環境では、サラサラした血液になります。

自律神経活動の安定

細胞から排出された二酸化炭素が血管を拡張します。また、交感神経の活動を抑えること によって血管が拡張します。高気圧酸素の環境では、末梢の血管が拡張することによって、 血流が増大して皮膚温が上昇します。健康な成人10名が60分間にわたって高気圧ルームに滞在した時の時間経過にともなう前肢の皮膚表面の血流 変化 (平均値で示してあります)。 高気圧 ルームへの滞在は、血流を増大させて皮膚温を上昇させます。中指の付け根 (図中の○印) のところの表面温度 は各図の左上に数値で示されています。

ストレスの改善

ストレスが蓄積すると、自律神経 (交感神経と副交感神経) の働きが乱れたり、交感神経 の過剰な活動を引き起こします。高気圧酸素の環境では、交感神経の過剰な活動が抑えられ、自律神経の活動が安定します。自律神経には、交感神経と 副交感神経の2つがあります。 日中 (活動時) は、交感神経の活動が積極的になります。また、緊張したり、ストレ スが加わると交感神経の活動が優位になります。一方、夜間、リラックスしている時、食事後には、副交感神経の 活動が積極的になります。
自律神経活動の安定を判断する指標として、[交感神経の活動/副交感神経の活動] があります。日中 (活動時) に測定して、0.8 から2.0 の範囲であれば自律神経の活動が正常となります。 交感神経の活動が優位になると高い 値を示し、副交感神経の活動が優位になると低い値を示します。 普通環境に滞在した場合の自律神経活動は、1.10 (普通環境で30 分経過後の値) から1.50 (普通環境に滞在す る前) でした (被験者:40 歳代の女性)。一方、交感神経の活動が優位であった男性 (50 歳代) は、高気圧酸素 の環境に滞在することによって、交感神経の過剰な活動が抑えられました (高気圧ルームに滞在する前は8.79、 高気圧ルームへの滞在30 分後は2.61、滞在60 分後は2.96)。 高気圧酸素の環境は、交感神経の過剰な活動を抑えて、自律神経を安定させます。

由井2018/12/31
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