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クライマーのコンディショニングとメンタル

土谷2018/08/29

クライマーのコンディショニングとメンタル

何のためにコンペに出るのか。コンペ前日の夜、突然のその問に僕は曖昧な答えをすることしかできなかった。次に店長から返ってきた言葉はこうだ、“勝つために出る、勝たなきゃ意味がない。”正直、この時の僕は口でいうほど甘くないと思っていた。しかしどこか気持ちが引き締まる感覚、この言葉がずっと頭によぎった。納得のいく結果につながったのも大げさではなく、この言葉のおかげだと実感している。今回はその時の心境とコンペ前に取り組んできた内容、その後の変化について考えてみたことを綴ろうと思う。

言葉の力

約一ヶ月前。PUMP大阪で開催されたコンペ、8DX(エイトディーエックス)に出場した。このコンペはセッション方式で合計3時間をラウンドに分けて登り完登した課題の合計ポイントを競い合う。朝10時に会場に到着。関西最大級とだけあって参加人数も117名と中々のスケール、会場は選手達の熱気に包まれていた。まずはオブザベーション、その後ドクターエアで全身をほぐす→静的ストレッチ→ダイナミックストレッチ→スクワットジャンプといつもと変わらない流れ。体の感覚も悪くない。競技開始のブザーがなる。緊張に弱い僕は最初のトライがかなり不安であったがこの日はいつもと明らかに感覚が違う。店長の“あの言葉”が気持ちを奮い立たせていた。1ラウンド目はミスなく順調であったがまだ少し動きが固い。休憩中、スタッフの中村さんから1件のメッセージ。“コンペは落ち着いて大胆に。”この言葉でまた気持ちが引き締まる。2ラウンド目の最初のトライで強傾斜の1級を1撃。このトライで勢いづき順調に課題を落としていった。休憩の間もドクターエアで体をほぐし、またダイナミックストレッチと準備を怠らない。迎えた最終ラウンドは苦手な緩傾斜や限界グレードに果敢に挑み続けた。そしてあっという間に競技終了。力を出し切れた充実感で満たされていた。結果は優勝。自分自身が一番驚いていた。人生初の優勝。嬉しくない訳がない、がそれよりも言葉の力の偉大さを実感した。大げさかもしれないがあの言葉があったからこその結果だと心底思う。この大会をきっかけに少し自分のクライミングに自信が持てるようになっていた。

2分間懸垂で筋持久力アップ

大会にベストな状態で臨むために2週間前から超回復の大会2日前までの間、2分間懸垂を実施。このトレーニングの目的は乳酸性作業閾値(LT)を高め、乳酸を蓄積しづらい身体にすること。トレーニングの成果もあってか最後まであまり疲れを感じずに課題に取り組むことが出来た。特に今回のコンペは合計3時間とかなりの長丁場で体力勝負でもある。故にこのトレーニングの効果を身をもって体感することが出来た。今後もこのトレーニングはしっかりと継続していきたいと思う。

自らに自信を与えるきっかけ

大会終了後、僕はすぐに東京遠征に行った。関東のジムの課題は一手一手の距離感が遠く、ムーブの強度が高い印象がある。ちょうど一年前に東京遠征に来た時は距離感やムーブの強度、全く触ったことのないボリューム系のホールド達に戸惑い、思うようなクライミングが出来なかった。あれから一年、無駄に過ごしていた訳ではない。ストレッチやトレーニング内容はもちろん壁以外でのトレーニングも取り入れ、クライミングに対する思いもより一層強くなっていた。その結果、一年前とは明らかに違う手応えを感じ自分の成長を実感することができた。あのコンペ以来、少しではあるが自分の動きに自信が持てるようになっていた。つい先日行われたred bull ASURAにも出場した。このコンペは3人1組のチーム戦で3人全員が登れて1完登となる、まさにチーム対抗コンペである。チーム成績は11チーム中7位と悔しい結果に終わったが個人成績では33人中9位と思っていたより上位であった。 内容的にも一撃率も高くオブザベーション通りの登りをすることができベストを尽くす事ができた。W杯に出場するような選手が参加している強者揃いのこのコンペで堂々と戦えたことはまた自信に繋がるきっかけとなった。もちろん基礎体力や保持力、技術が上がったのもあるとは思うがそれ以上にあの優勝という結果が僕に自信を与えてくれている。

“勝つために出る”なぜ店長があの時僕にそう言い放ったのか、今なら少しわかる気がする。自分自身を成長させるために僕はコンペに出る。まだまだ足りない物だらけで上を見たらきりがないけど、確実に成長出来ている。今のこの気持ちを忘れずに自分の目標へ向かって全力で突き進んでいく。もっと上のステージに立てるのを夢見て。

土谷2018/08/29
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