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【グッぼるツアー】ROCKTRIP STONE VALLEY in Kochi

土谷2020/01/12

ガイド本 STONE VALLEY を片手に

昨年と同様に今年も四国の岩場へ。目的地は新たに出版されたトポ「STONE VALLEY」に記載されている岩場、高知県は物部川へ。移動中の車内でトポを見ながら新たな岩との出会いに気持ちが高揚している自分がいた。

波乱の幕開け

はじめに向かったのは笹渓谷はうずまきエリア。お目当ての課題は“ドラゴンへの道”グレードは二段。その課題名もさることながらどっかぶりのルーフを抜けてリップへとランジする課題。とてもカッコいい課題だ。いつものごとくドクターエアで体をほぐしいざトライ。予想以上にリップ取りが悪い。数トライを重ね突然事件は起きた。おそらく開始5トライ目だったかリップをはたいて着地したとき異変に気付く。左手が暖かい...。目視すると中指の第一関節あたりの皮が豪快にめくれ流血していた。やってしまった。傷口は予想以上に深くとても登れる状態ではなかった。晴れていた天候も徐々に曇り始め、気づけば雹が降り出すほどの悪天候に。まるで今の僕の心境を現しているようだった。果たしてこんな状態では登れるのだろうか...。四国ツアーは波乱の幕開けとなった。

美しい自然と素晴らしい岩

二日目。まだ日も出ていない早朝、不安とストレスで目が覚める。新年早々に気持ちが沈んでいた。キズパワーパッドのお陰でかなり回復したがまだ動かすと痛みが走る。だが全く登れない程ではなさそうだ、せっかく四国まで来たのにこのままでは終われない。

この日向かったのは笹渓谷の上流に位置する秘境エリア。鮮やかな新緑とエメラルドグリーンの淵、美しい大自然に囲まれ沈みかけていた心が浄化されていく気分だ。あまりの自然の素晴らしさにしばらくは撮影に夢中になっていた。

日が昇り暖かくなった正午、痛む指をテーピングで圧迫しこれなら何とか登れると自分に言い聞かせた。だがこの状態であまりトライを重ねたくない、一つの課題に専念することにした。

“Soundless World”グレードは三段。およそ160°はあるであろう強烈なルーフに潜り込み左手はアンダー、右手は縦カチでスタート。身体張力全開で始まるスタートは体幹力が問われ、その体勢から繰り出す一手はつまむような形状をしていて恐ろしく遠そうだ。呼吸を整え、全身に力を込める。なんとか離陸するも初手が止まらない。数トライしたところで動画で動きを確かめると手が届く前に腰が落ちているのがわかった。重心の位置を上げることを意識し再度トライ、一気に感覚が良くなった。だがこの後止まりそうで止まらないトライが続く。感覚は悪くないが指の痛みに自然と意識を取られる。登りに集中していて気が付かなかったがテーピングが赤く染まるほど血が滲んでいた。痛みに耐えられれば必ず登れる、そう自分に言い聞かせ今日は潔く諦めて明日に賭けることにした。

Soundless World 三段

迎えた最終日。天候は快晴、風も殆どない最高のコンディションだ。指は案の定悪化し内出血を起こしていたがあと少しの辛抱、耐えてくれ。なんとしても登りたい。目を閉じて登れる自分をイメージし気持ちを高める。鼻から空気を吸い込み胸に溜め、口から長く吐き出す。集中したい時に行うルーティンの一つ。指先からつま先まで全身に力を込める。一瞬だった。左手はしっかりとホールドを捉え体が空中でとまる。足を戻し短く呼吸、次の一手を体で抑え込む。右手クロスランジで最後の力を振り絞る。ゆっくりと手を進め岩の上に立つ。登れた。やり遂げた気持ちでいっぱいだった。仲間とその場に居合わせたクライマーの方たちが完登を讃えてくれた。とても嬉しかった。

初日で指皮が裂けた時はどうなるかと思ったがなんとか登り切ることが出来た。今回の出来事は精神的な面での成長に繋がったと今はポジティブに捉えている。ツアーを通してクライミングは自分自身と向き合える素晴らしい文化だと改めて実感した。

ROCKTRIP STONE VALLEY in Kochi

今回のツアーを映像にまとめました。美しい自然と素晴らしい岩。見ていただけたら幸いです。

土谷2020/01/12

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