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新しい最難V17ボルダー誕生。動画からムーブを分析!

亀山2022/09/04

新たなV17「ALPHANE」が誕生

ボルダリングにおいて現在のところ最も高い難易度となっているV17(6段+)。このグレードが提唱されている課題は他には再登が出ていない2本。今回で3本目ということになります。初登者と再登者によってグレードの協議が行われていくため確定するにはまだ時間がかかることも予想されます。しかしながら、「ALPHANE」はすでに世界トップクラスのクライマーがトライしていることから、かなりの難易度であることが予想されます。

数々の高難度を完登してきたShawn Raboutouが初登

初登日は2022年4月6日。場所は有名なボルダーエリアであるスイス・キロニコ。ショーン・ラブトゥが6年の期間を経ての完登です。課題名の「ALPHANE」はもともとは動画の「The alphane moon」という8aの課題から来ているようです。ショーンといえば「Off the Wagon Low start」「Story of 3 Worlds」など複数のV16/6段を初登しています。また「ALPHANE」がプロジェクトだった頃からダニエルウッズ、ジミーウェブ、デイブグラハムなども一緒にトライしており、ここからもショーンの強さがわかります。

「ALPHANE」は極限の持久力が求められるボルダー

Mellowより動画が公開されました。動画より「ALPHANE」の課題構成やショーンのおおまかなムーブ特徴をまとめてみました。

  • 主な手数:21手
  • レストまでのトライ時間:2分7秒
  • フットホールドの移動回数:約27回
  • 使用シューズ:左「ミウラVS」、右「ソリューションリブート」
  • 岩の傾斜:125〜130°あたり

これらから分かるように課題としてはかなりのロングボルダーです。ショーンが確実なレストを挟んでいる箇所までのトライ時間もルート並の2分超え。また動画内でのショーンの落ち方もすっぽ抜けやデットムーブで失敗するシーンが少なくヨレ落ちといった感じです。1箇所が悪いというよりも腕がパンプするといった雰囲気。足も小刻みに移動させており水平方向のホールドと相まって足が外れたら落ちるといったパートも。かなり持久力とストレスニア系の課題構成。瞬間的に難しいといったよりも打ち込んでムーブ修正を重ねっていった末の完登トライです。
ALPHANEの位置情報

ショートハードかロングボルダーかの2極端

現在のところ再登者が出ていない残り2つのV17は「Burden of Dreams」と「Return of Sleepwalker」。「Burden of Dreams」は5手。「Return of Sleepwalker」は15手で長めのボルダー。いわゆるSD(シットスタート)からは「つなげるのが難しい」課題はまだまだ世界中にあると思われます。今後は途中から初登された課題がSDで登られるケースがさらに増えてくると思われます。それはクライマーのフェジカル的な向上と共に、初登者のムーブがより洗練される形で後続のクライマーがトライしていくことも要因でしょう。新たなラインと既存課題のSDなどV17の次のグレードが提唱されることも近づいている気がします。

クライマーのAll-In(オール・イン)

以前インタビュー記事を掲載いただいたROCKCLIMBING(ロッククライミング)011にAll-In(オール・イン)という言葉が使われていました。ポーカーにおいて自分の持ちチップを全てベット(賭ける)することを指すそうです。クライマーが自身にとって難しい完登を狙うときには、誰もがかなりの注力が必要となる例えです。それは時間であり、労力、精神力。ダニエル・ウッズが「Return of Sleepwalker」を初登するときには50日以上。岩の近くでキャンプ生活。他のボルダーは一切登らず打ち込み続ける。これ以上ないAll-Inでした。今後もさらなるボルダーが初登されていく中で各国のクライマーのAll-Inが楽しみです。

亀山2022/09/04

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