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初めての岩場ツアー in 四国 後編

土谷2019/03/30

新年の幕開け

2019年1月1日午前6時。携帯のアラームで起床。年越しを寝て過ごしたのは何年振りだろうか。毎日10時には就寝し6時に起床するサイクルはとても健康的で毎朝清々しい気分だった。今日でツアー3日目。昨日トライをかなり重ねたせいか体はバキバキ。それでも今日もまた新しい岩場に行けると思うと早く登りたいと思う気持ちが込み上げてきていた。

仁淀川 Future エリア

本日向かう新たなエリアは四国に来たら絶対行っておきたい岩場、仁淀川である。高知市内のホテルから車でおよそ40分。目印の大崎橋という吊橋を越えた先に駐車スペースがある。目的地のFutureエリアまでのアプローチはゴツゴツとした河原を下流に向かって歩いていく。エメラルドグリーンに輝く川を眺めながら進む道のりはそれだけでもとても心地良い気分だった。

Stoicism 3段

Futureエリアに到着。まず驚いたのは開けた河原に突如現れる巨大な岩。一つ一つの存在感に圧倒された。岩質はチャート、触った感触は河原特有のツルツルしている感じで指川に優しい。形状もスローピーなホールドが多い印象を受けた。

これから挑む課題の名は“Stoicism”。グレードは3段。薄かぶりのフェイスにある僅かなくぼみを繋いで抜ける課題。手数は少ないが一手一手の強度が高く核心のカズトンカチは距離が遠くかなりフィジカルが求められる課題だ。

ドクターエアで全身をほぐしてから早速課題に取りかかる。実際に取り付いてみると下から見てたときより核心の一手がかなり遠く感じる。体を振り反動の勢いで手を出すも狙いが定まらない。ピンポイントで狙いを定めホールドを捉えてもデッドの勢いで抜けてしまう。デッドだとかなり厳しい感じがした。

アプローチの仕方を変えスタティックにムーブを起こす。左手のロックと右足の力で体を支えめいいっぱい手を伸ばす。右手がしっかりとホールドを捉えた。しかし、その後のムーブが安定せずあえなくフォール。ただあきらかに手応えを感じ、ふいに登れるイメージが湧いた。

30分ほどレストを挟み、迎えた6トライ目。核心の一手がイメージ通りに止まると同時に自然と全身に力が入る。手数は少ないはずなのにゴールがとても遠く感じる。途中スタンスが定まらず苦しい時間が続いた。仲間達の声が聞こえる。最後の力を振り絞りリップに手を伸ばす。自分の雄叫びと同時に右手がホールドを捉えた。そこからマントルを返すまでの時間はとにかく必死でなんとしても登りきろうと無意識の間に手を進めていた。もたついて不格好なトライになってしまったが仲間達の声のお陰でなんとか岩に上に立つことが出来た。

正直なところトライする前は登れるとは思いもしなかった。まだ岩場の経験も浅く、自分にはこのグレードはまだ早いのではと、そんなことを考えていた。実際に仲間の声がなかったらきっと登れていなかったであろう。それでも自分の限界に挑み、力を出し切った後には自然と声が溢れ出した。そして大切な事に気付かされた。クライミングとは常に自分の限界に挑むものであると。不格好でもいい。それを達成した者にしかわからない感覚、この感覚を味わうことに魅力されてクライミングを好きになったのだから。2019年の幕開けは僕にとって忘れられない日になった。

超時空 2段

ツアー最終日。本日も同じく仁淀川Futureエリアへ。前日のトライがかなり効いていて疲労はピークに達していた。そんな中最後の課題に挑む。課題名は“超時空”。グレードは2段。岩の一番奥からスタートしアンダーフレークに沿ってトラバース、最後は大きなガバフレークのあるルーフを抜ける。中々の手数の多さだ。入念にアップし、ホールドとスタンスを確認してからトライ開始。数トライを重ねムーブを試行錯誤しなんとか完登。最終日も岩の上に立つことが出来た。

四国ツアーを終えて

初めての岩場ツアーを終えて何かとてつもない充実感に満たされていた。これまでほとんどジムでしか登ってこなかったが今回のツアーで毎日のように岩場に足を運び、岩を登ることに没頭した日々はとても幸せであった。結果ももちろんそうだが、純粋に岩を登ることの楽しさに気付かされた素晴らしい4日間だった。ツアーを終えた後は何か自分の中のクライミングの新たな可能性が広がった気がした。そしてまた岩を登りたいと思うようになっていた。

四国の美しい自然と素晴らしいロケーションでクライミングが出来たことに心から感謝。またいつか行こう。さて、次はどこへ行こうか。自然とそんなことを頭に思い描くようになっていた。

▼四国ツアー 成果
Stoicism 3段
藁焼きタタキ 2段
超時空 2段
纏 2段
炎 初段 FL
911 初段 FL
松風 1級

初めての岩場ツアー in 四国 前編

土谷2019/03/30

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