【グッぼるツアー】 2回目の最難Burden of Dreams(V17)
1年後の再挑戦
2018年9月、1回目のフィンランドツアー。Burden of Dreams(V17)は登れなかった。技術・保持力ともに足りないことを切実に突きつけられた。トライ開始して1週間ぐらい経ったころ、「これは今の自分には登れない」と感じ取れた。限界グレードや苦手過ぎるボルダーを触った経験のあるクライマーなら、課題を見てホールドを触った感じで「無理そう」「できない」と思う瞬間があると思う。まさに”今は登れない"と思う瞬間がBurden of Dreamsに対してあった。
帰国し、実力不足と感じる点を考え直した。単純に言えばホールドをより持てるようにすること。この1点が大きい。Burden of Dreamsのカチをより安定して保持できるようにする。広く保持力と言われる力を上げるのが不可欠だと思った。指の強さだけではなく、安定して持てるポジションをキープする筋トレも。Burden of Dreamsは単純に引っ掛けるインカットのあるカチではないため、手を押さえつける動きも大切。このあたりは店長に教えてもらいつつ、トレーニングマシンを使って部分的にも強化した。スティッキングポイントを最後まで追い込んだ。
2回目のフィンランド
2019年10月、2回目の挑戦。3月にNo Kpote onlyを登った。日本では3年越しの宿題だった現世(V14)が登れた。薄いカチもしっかり握れる。保持力そのものが上がった実感がある。そこからさらにカチトレを継続。そして迎えた10月。間違いなく1番カチが持てる状態で臨んだ。
1年ぶりのフィンランド。相変わらず曇り空が迎えてくれる。フィンランドは土地柄で天気が基本悪い。1年ぶりにBurden of Dreamsの岩を触った感じは「登れる」と思えた。どのホールドでもしっかり体を動かせる少しの余裕もあった。意気込んで、いざ繋げようとスタートホールドから始めた。しかしながら1手目のデットが止まらない。ここから1手目との長い戦いになった。1手目のカチにタッチはできているため何度もトライ。でも1回すら止まらない。
ツアー10日間過ぎても一向に止めれない。他のパートを完璧にこなせる実力をつけてフィンランドへ戻ってきたのに。一方でこのツアーで日程が重なった中嶋徹さん。徹さんはすべてのムーブをこなし本当にスタートから繋げるだけだった。すごい。徹さんの登りを見て1手目ができない理由を必死に考えた。それでもできない。手は届くが足が残せなかった。手のホールドが保持できていないよりは、足が残せなかった。足位置を数cm単位で調整し、つま先・ひざの向き、腰の高さ、手と足にかける加重のバランスを突き詰めた。
ツアー最終日。岩は今までになく乾いた。気温もほどよく低い。岩は絶好のコンディション。それでも1手目はできなかった。止めきれなかった。指はしっかり引っかかるのに足が残せずに落ち続けた。「今回のツアーでは登れない」。そう密かに確信し、トライを諦める瞬間が毎回つらい。日本への帰国の足取りが重い。3月のフランスツアーの時とは大違い。この"登れないことを確信して岩を離れる"のは避けたかった。特にこのフィンランドのBurden of Dreamsの前で。
帰国して
準備は完全だと思って入国したフィンランド。2回目も結果として登れなかった。手のカチが持てるようになれば登れると予想したのが単純すぎたとも思う。もっと突き詰めなければ登れない現実にぶつかった。その課題が登れないとき、自分の限界すれすれに挑むことは諦めたくなるほど疲れてしまうこともある。今回はその状態に近かった。
2020/07/07時点で左手薬指の腱を痛めていて全力では登れない。次のシーズンに向けてはしっかり治しきりたい。そしてまた全力でBurden of Dreams始め、国内外の岩に挑めるようにしたいと思う。まだまだ実力不足であることがハッキリ分かった意味で2回のフィンランドツアーは良かった。今度こそは登れるようにトレーニングしていこうと思う。
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