La Sportiva『オンドラコンプ』を店長が3ヶ月履いて登ったレビュー。
La Sportiva「オンドラコンプ」レビュー|現代ボルダリングに最適化された究極の一足を試す

コンペでも岩でも!「オンドラコンプ」開発の背景と思想
その値段も相まって今年最も話題になったLa Sportiva「オンドラコンプ」は、アダム・オンドラが自身の経験を基に開発したシューズ。コンペで求められるスメアリング、トゥ・ヒールフックに加え、岩場でも実力を発揮する万能型シューズです。
コンペ用に開発されたとはいえ、注目すべきは、オンドラ自身が世界最高グレードとされるV17の完登時にもオンドラコンプを使用していたという事実。彼自身も意外だと語っていましたが、その課題においてはベストだったようです。
オンドラコンプの新テクノロジーが凄い!
近年の大会課題で多用される傾斜ボリューム上のスメアとエッジングを両立させるため、柔らかさと指先の剛性を絶妙にブレンドし、「スメアは柔らかく、エッジは硬く」を実現しています。これが“Smedging(スメッジング)”力を大きく向上させました。またソール内部に埋めた発泡パッドが壁面に合わせて変形し、足裏全面で“掴む”感覚を得られる独自構造SenseGrip™。特許取得済みで、トウキャップにも同素材が延長配置され、足裏の感覚を高め、繊細な足使いをサポートします。
仕様概要
- アッパー スエード+マイクロファイバー 伸びは大きめ
- ソール Vibram XS Grip² 3.5 mm(ハーフソール) P3™テンション保持
- ミッドソール LaSpoFlex 1.1 mm(トウ下のみ) Sense Grip™内蔵
- ラスト ローボリューム・強ダウントウ 中〜細幅向け
- 重量 約 210 g(片足 42) 競合比±0 g
- 価格 38,500 円(税込) 2025/1/24 日本発売
性能バランス
- スメアリング ★★★★★ Sense Grip™発泡パッドが面圧を分散
- トゥフック ★★★★★ 広範囲トゥラバー+3Dプリントパターン
- ヒールフック ★★★★☆ 低ボリュームヒールとP3の張力
- マイクロエッジ ★★★★☆ 1.1 mmミッドソールが点荷重を支える
トップ選手が支持する理由|スポルティバ他モデルとの使用感比較
- 「セオリー」より広めのトゥ、狭めのヒール
- 「ソリューションコンプ」よりも柔らかく、スメアに強い
- 「マンダラ」に近いフィット感
プロクライマーの間でも、オンドラコンプは“勝負靴”として認知されています。
店長自身による実践レビュー
実際に購入して、3ヶ月ほど履き込む事でオンドラコンプの凄さが段々と分かってきました。以前はセオリーをメインで履いていた事もあり、かなり近い感触でシューズを履けましたが、セオリーより足入れとエッジング、トウフックが格段に良くなっている印象です。ヒールは固めが好きな僕自身はセオリーの方が良いと感じましたが、総合的には現時点でオンドラコンプがスポルティバ最高傑作なのは間違いないでしょう。値段は高いですが、間違いなく性能自体に不満は出ないと思います。試し履き会においてもお客さんの反応はほぼ満点に近い感想でした。
メリット / デメリットまとめ
メリット
- スメア&トウ&ヒールのバランスが随一
- Sense Grip™で“掴む”ような密着感
- ヒール小さめで日本人にも相性良し
- 上級者でも履き心地が“意外に快適”
- インドアでのスメア・エッジが超安定
- P3システムによる形状維持
- リサイクル素材を一部使用した高耐久アッパー
デメリット
- ハーフソールゆえ長時間の垂壁エッジでやや足に疲労が溜まりやすい
- 価格はコンペシューズ最高クラス
- スエード主体なので大きく伸びる→サイズ選び慎重に(店長は24.5cmでEU37)
最新コンペの「曲面だらけ+極小エッジ」という相反する要求を一足で解決する、いわば“現代ボルダリングの万能兵器”。岩場でもスローパー主体の河原ボルダー・砂岩では真価を発揮しますが、鋭利エッジが連続する花崗岩の高難度では ソリューションやミウラ系の剛性が恋しくなる場面も。競技も外岩も一本でこなしたい“オールラウンダー志向”の上級者に最適な一足。値段が高いですが、コスパは意外にも悪くない。最高級シューズの性能を試したいクライマーは是非購入を検討してみてはいかがでしょうか。