【岩場】フローティン5段+完登 - 偶然の重なりこそボルダーの面白さ
瑞牆にある最難Floatin
2021年、村井隆一くんによって初登されたFloatin。瑞牆山の発射台の岩にあるライン。初登前から安間佐千さん、竹内俊明さんなどトップレベルのクライマーがトライを重ねており話題となっていました。そしてキャンパで攻略するという印象的なわずか5手のラインが誕生。その後も2年に渡って数々のクライマーを退ける難度。2022年に実際に触った感覚としては「全くできない」に尽きるもので、ムーブをバラすことも叶わずに敗退。
フィンランドツアー3日前に怪我でキャンセル
夕方、腰あたりへ違和感があった後に夜になるころには激痛。翌日は動かなくても痛みが出ており急遽整形へ。診断結果は腰へ伸びる右足の腸腰筋の腱部分の損傷。自然治癒のため1ヶ月は安静が望ましく、特に右足のフック系の動作で痛めた可能性があるため要注意とのこと。フィンランドツアーはキャンセルするほかなくなりました。航空券、宿、レンタカーの諸々の手配が終わり、ようやく海外へと思ったタイミングでの怪我。痛みがなくなった10日後から上半身のトレーニングだけは開始。2週間は全くシューズを履かずに過ごすことに。
シーズン序盤は天気が良くても何もせずに過ぎていきました。2週間経過して足を持ち上げる動作は問題なくできるように。目標とする岩のうち右足でのフックや強い立ち上がりをしない課題を考えたときに思い浮かんだのがFlolatin。ほぼ左足しか使わなくてもムーブは試せそうというのが理由となりました。上半身の強さが求められる課題はある意味、怪我後のトレーニングも活かせそうなラインに思えました。
1年後にFloatinに感じた可能性
着地もまだ右足には良くはないと感じたためテーピングとサポーターで股関節から太ももにかけて補助。着地には注意を払ってトライしようと考えつつ瑞牆へ。1年ぶりに触った感覚として、まず岩のコンデションは最高。連日の晴れで湿気っているという雰囲気が全くない状態。昨年はヒョウが降ったりと登りやすい環境では無かった思い出。そして1度もムーブができなかった1手目のランジ。指皮が消耗しやすいスタートホールドのため数トライを集中して練習。初登の隆一くんのムーブはキャンパながらやはり無理そう。左足で蹴るムーブに集中。前後の振られは大きくなってしまうものの、ポケットは確実に届くことを優先することに。
偶然とタイミングが合った瞬間と
昼の2時を過ぎた頃、奇跡のように1手目が突然止まり1人で感動。その後のクロスキャンパで失敗。もし次も1手目を止められたらと思い、上部も掃除をしつつ練習。ちょうど時間は3時ぐらいに。もう1度トライしようかなというタイミングで中嶋徹さんが!新しく5段を初登した後なのだそう。凄い。少々最近のクライミングについて話をして「1回スタートから」と集中。スタートを慎重に握ってランジ。その後はホールドを離すまいと無我夢中。リップを触る頃には指先が限界。落ちれないと思いつつスラブ面をじりじりと登った。登れた!徹さんが到着して1トライ目で完登。偶然にチカラが入ったタイミングだったのかと感激。
思いがけなかったFloatinの完登
完登後に徹さんに「凄い!仕上がってるね。」と声をかけてもらった。怪我をせずフィンランドへ渡っていたら今シーズンは挑戦するタイミングなく終わっていたかもしれないFloatin。怪我で落ち込んだものの、1つの目標である課題が登れて救われた気持ち。別の課題でトレーニングが強く活かされた経験となりました。次は、来年こそはフィンランドへ。Coreで製作された3Dスキャンのホールドもジムへ設置予定。Burden of Dreamsへの再挑戦を願うところです。
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