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脳内刺激の強かった課題 国内編 中村選出

中村2018/11/25

前号のロクスノに全国ボルダ―「1級 初段」100課題という特集がありました。自分も振り返って印象に残った課題を考えてみました。そうすると思い出される課題たちは「脳内刺激が強かった課題」でした。「リスクから生まれる冒険性」は自分のクライミングに向き合う主たる動機となっています。グレードを追い求めることよりも、その場所やそのタイミングでしか感じられない「脳内充実度」を求めてしまいます。それが自身の生き方に充実感を与えてもらい、日々を過ごせていることにも気付かされます。自分の新たな可能性に気付く。そのキッカケになればという思いを込めて課題をいくつか紹介させてもらいます。

瑞牆(山梨県)

KUMITE 二段

見た目のインパクトだけではない、しっかり内容の詰まったラインです。全体的に保持感の甘いホールド、手数の多さ、ハイステップからの立ち込み、上部スメアリングでの引きつけなど駆け引きするには十分すぎる要素があります。前半のランディングは緩やかに下った先が水溜りで、後半は足元に岩があり下手に落ちれば下の水溜りに転げ落ちます。

生命力 初段

写真左端の出だしのランディングはほぼフラットで取り付きやすい課題です。下部は花崗岩らしいシビアなフットホールドを捉えながら、カンテをバランシーに押えるムーブを解析する過程が面白い。比較的持てそうなリップのホールドに反して、マントルがシビアでリスキーです。ここで落ちてもマットがあってうまく着地できれば問題ありませんが、それ以上に上部のスラブ面が苔っていてホールドが見つけづらくかなり慎重になる必要があります。滑り落ちれば右側の岩に背中から落ちそうな状況が想像できます。

笠置山(岐阜県)

突佛 二段

バランシーな体勢からの核心の一手は、ジムでありそうなダイナミックムーブ。岩自体はさほど高くありませんが、核心で振られて落ちれば背中から岩へ激突するので的確なマット配置が重要になります。

フクベ(岐阜県)

サンシャインパワー 二段

写真右奥の枕(初段)パートのトラバースからピッコロ(1級)へと繋げる割と手数の多い課題。ヨレ核心かと思いきや、ムーブがかなり面白く内容の濃い名作です。特に中間部は絶妙なフットホールドの配置で、時間をかけてでもシークエンスを解明しながら登ることをオススメします。

ハッパマシンガン 二段

サンシャインパワー以上にムーブのテクニカル濃度が高い名作です。シークエンスを解明しても、各パートのシビアなホールディングかつフットホールドのバランスが絶妙で、何かが狂うと上手くいきません。核心はダイナミックでパワフルだけど繊細。ランディングは岩盤だけどフラットなので取り付きやすいですが、トラバースを抜けてからの上部パートはホールディングが甘くヨレているとすっぽ抜けそうで背後がソワソワします。

楯ヶ崎(三重県)

ハテナ 1級

キレイな柱状節理の岩や高さだけではない、刺激的な内容の名作です。核心が最後の一手に集中しているのと、遠いリップまでの距離で流石に足がすくみます。強風でマットが飛ばされることもあるので注意してください。岩を正面から見ると課題名の由来がわかると思います。

ヒロミ 1級

ハテナの隣にあるラインで、地味だけど隠れた名作。全体的にホールドが甘くフットホールドも細かいのですっぽ抜けのリスクがあります。やはりリップ取りが遠いのですが、凹角なのでスタンスを工夫すればいろいろなムーブがあるかもしれません。写真を見れば言うまでもありませんが、楯ヶ崎はロケーションが最高なのです。12月から2月の真冬でも半袖で登れる気温で海が見えて開放的。クライミングは登る岩だけでなく、周辺の景観にも価値があるのだと気付かされたエリアです。

大山岬(高知県)

Crazy For You 初段

取り付きに立てばわかる課題名の由来。写真中央の白くなっている棚ガバへ地ジャンスタートで飛びつくのですが、岩質がサラッとしているので滑りそう。高度を上げるほどにランディングが下がっていき、クレイジー感が増します。上部はガバばかりなので気持ちよく登れ爽快です。

鳴滝(徳島県)

ボーダーライン 二段

高さというより、勇気を振り絞る系の名作。核心ムーブで振られて落ちれば岩にぶつかりながら川の中へ吸い込まれるであろうランディングが堪りません。ルーフにある第一関節までギリギリ入るポケットの薄いカチがこの課題のキーホールドで、真っ向勝負系のザ・ボルダー。巨岩に囲まれ、キレイな川が流れる心地が良いロケーションも最高に心地良いですよ。

終わりに

冒頭にも書いたようにロケーションや登りたいという意欲などグレードを超越した素晴らしい体験ができる課題たちです。訪れる機会があればリスク管理には十分配慮した上でトライしてみて下さい。
中村2018/11/25

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